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Channel: QLife社長山内善行ブログ「Qオリティ・オブ・Life」 »日本
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『火花』と『流(りゅう)』、どちらがおもしろかったか

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「出版会に久々の明るいニュース」「100億円の経済効果」とやらに素直に加担しようと、芥川賞と直木賞をそっこーで読みました。それも通販でなく、紀伊国屋書店に買いに出かけました。本屋さんの盛り上がりを見たかったのです。いやーいいですね、店頭が賑わうっていうのは。大きなコーナーが出来て「芥川賞」「直木賞」POPが踊っています。よし、踊るあほうになるか。

東山彰良さんの『流(りゅう)』、又吉直樹さんの『火花』。どちらもインパクトある装丁ですね、良いです。

それにしてもタレントの求心力はすごい。受賞インタビューで又吉さん以外の受賞者2人が揃って「又吉受賞の感想」を求められるという失礼な事態を、皆が普通に受け容れています。いくら高いギャラを払ってもTVCMにはタレントを起用する方が効果があるわけです。

又吉さんの姿を見て、全国の中高生が夏休みの作文の宿題がちょっとだけ嫌ではなくなっていることでしょう。「俺にだって書けるかも?」と小説づくりを始めてみたり。若者の火付け役になるって素晴らしい。

さて私の読後感は『流』も『火花』も清々しいものでした。新人賞なんだから当たり前ですが、手を抜かないマジメな書きっぷり。特に又吉さんの性根のきれいな才能には、憧れます。心からおめでとうと言いたくなる人です。

でも作品としては『流』が断然面白い!「ああ、こんな感じだったなあ」と30年以上前に中国大陸を一人旅した時の経験がフツフツと蘇りました。そこに織り交ぜて「台湾視点での日本」が描かれるもんだから、これがまた新鮮で、どんどんページがめくられます。さらにスケールの大きな組み立て力にも「どこからどこまでがフィクションだろうか」と小説家という生き物のすごさを見せつけられました。お勧めです!

流 火花


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